歯科で最も多く使用される麻酔は注射による麻酔です。その他に多く使用される麻酔として、笑気ガス麻酔があります。この笑気ガスは安全で副作用もなく絶対に使用してはいけない(絶対的禁忌症)が稀にあるので注意が必要です。
実際の歯科治療における笑気ガス麻酔の使用してはいけない場合について詳しく解説したサイトは少ないと思いますので詳しく説明していきます。
1.笑気ガス麻酔を使用してはいけない人とは?
アレルギーと副作用が無く非常に安全な笑気ガス麻酔ですが、稀に絶対に使っては行けない場合があります。
1)網膜剥離などで目にガスを入れた人
網膜剥離など目にガスを入れる手術を行う場合があります。
この場合に笑気ガスを使用してしまうと失明などの重篤な合併症を引き起こす可能性があるので絶対に使ってはいけません。
眼科医が笑気ガス麻酔を使用しても大丈夫と考える時期までは使用してはいけません。
通常歯科を受診する時は問診を行うので、このような場合は使用しませんが申告し忘れてしまうと大変なことになるので確実に申告するようにしましょう。
2)体に死腔(隙間)がある人
気胸、腸管穿孔などの消化管穿孔、などの体に隙間がある人はそこに笑気ガスが残ってしまいますので使っては行けない場合になります。
ただし、医科の麻酔科においては吐き出される笑気ガス濃度を測れる器械があるのでこれを使用して、笑気ガス麻酔の効果が切れたことを確認すれば使用できるとされています。
しかし、一般的な歯科医院ではこのような機器はありませんから、使用しない方が良いでしょう。
ただし、この場合は非常に大きな問題になることは少ないようです(死腔に残っても最終的にはぬけるので)。
3)鼻がつまっている場合は使ってはダメと言われているが本当か?
鼻がつまっている場合は笑気ガス麻酔が効きにくいもしくは効かないので、笑気ガス麻酔の効果が薄いため使用しない方が良いと言われています。
ただし、使用することによって特別大きな害がある訳ではありません。
経済的、時間的損失があるだけです(効果があまりないのにという意味で)。
たまに、いつも笑気ガス麻酔を使用している小児の患者さんにおいて風邪をひいて鼻が詰まっているのに使用することがあります。
この場合は、患者さん自身がいつもより麻酔の効きが悪いと自己申告することがあります。
鼻の詰まりが大きく、麻酔効果がほとんど得られない場合は処置自体を中止することもありますし、多少の鼻づまりで麻酔効果が得られれば処置を継続することもあります。
この場合も患者さんに聞きながら行うというのが現実的です。
4)非協力的な場合は使ってはいけないと言われているが本当か?
患者さんの協力が得られない場合は歯科麻酔の教科書のとでは使ってはならない分類されますが、私自身は暴れる患者さん(小さい小児のお子さんに多いですが)にも押さえつけて笑気ガス麻酔を吸ってもらい治療を行います。
ある一定時間笑気ガス麻酔を使用できれば痛みも少なくなりますし、体が動いたりすると減らすことができると言う利点があります。
そのため、私自身は押さえつけてでも笑気ガス麻酔を使用します。
そうすることによって、何度か押さえつけて笑気ガス麻酔を使用して治療を行うことができると、治療の何度かめに抑えつけることなしに治療ができるようになった患者さんもいます。
そういう意味においては使ってはいけない場合に分類する必要はないと考えられます。
まとめ
笑気ガス麻酔は、注射による麻酔と異なり麻酔を行うときの痛みなどが少なく利点が多い麻酔ですが使ってはいけない場合(特に眼にガスを入れた場合)があるのでその場合は注意するようにしましょう。
関連記事