一般に、歯の神経にたいする治療が終了して、歯がない部分の土台には修復を行う必要があります。この時、従来では金属を使ったメタルコアと言う修復方法とその他の修復方法2つの修復方法がありました。そして現在でもあります。
最近は、新しい方法としてその他の修復方法においてもファイバーポストと言うガラスファイバー製の土台を使用した修復方法が行われるようになってきています。
このファイバーポストは以前は健康保険適応外でしたが、最近保険適応されるようになってきています。
このファイバーポストの治療を行う場合は方法によって若干治療費が違うのと、利点が多いですが欠点もあるのでそれについて詳しく説明をしていきます。
1.コアと呼ばれる治療費について
歯が虫歯などによって浸食されて、その部分を人工的に補わなければなりません。
歯の土台となる部分をコアと呼びます。
専門用語では支台築造と言って、メタルコアと呼ばれる金属製のコアとその他と呼ばれるコアがあります。
「その他」と呼ばれるコアの多くはコンポジットレジンというプラスチックに似た材料を主体として使用されることが多い材料です。
2.コアの材料について
保険で使用されるメタルコア(金属製)のコアは銀が主体の材料です。
「その他」のコアに使用されるコンポジットレジンは色々なメーカーから出ていますので、使用する歯科医師の好みで選択されることが多いと思います(上の写真がこれにあたります)。
以前は下の写真に示すようにコンポジットレジンの強度を上げる為には金属の材料しかありませんでした。
それが、あらたに上の写真のようにファイバーポストが保険点数に組み入れられたのです。
保険点数の表は平成29年4月1日改定分の保険診療点数を表にしたものです。
型取りを行うのは、金属のコアであるメタルコアとファイバーコアの2種類になります。
型取りを行うとより精密なコアになりますが(模型を製作して、その模型上で製作した方が作りやすいため)、通院回数が多くなる欠点があります。
その場で直接コアを作る方法もあります。
これができるのは「その他」のコアだけで、メタルコアは模型を作って製作する(型取りして作る来院回数が増える方法)しかありません。
ファイバーポストも使用するファイバーポストの本数によっても点数が変わるので注意が必要です。
3.ファイバーポストの保険点数について
ファイバーポストというのはガラス繊維でできた金属よりも歯の破折の可能性が少なくなる材料です。
しかし、このファイバーポストだから歯が破折しないという訳ではありません。
あくまで可能性が少なくるなると考えて下さい。
ファイバーポストは前歯、犬歯、小臼歯がひとくくりで大臼歯(奥歯)と保険点数がことなります。
また、それぞれダイバーポストを1本使用するか2本使用するかでも点数が変ります。
4.ファイバーポストの利点と欠点について
札幌デンタルラボラトリー ホームページより筆者改変して引用
根の治療を行って、金属の土台であるメタルコアを入れと金属は歯よりも強度がある為に歯が折れてしまうという現象が多く見られます。
私自身は数年間メタルコアは使用していませんが、他院で行ったメタルコアで歯の破折例をかなり経験しています。
歯が破折してしまうと、抜歯の可能性が高くなってしまうので注意が必要です。
ファイバーポストは歯の破折が少なくなるというデータも出ていて強度も従来の「その他」と金属を使用したコアよりも大きいと言われています。
ただし、歯の根の治療を行った後にファイバーポストを使用します。
歯の根の治療は最悪の場合は、再治療といって再度根の治療を行わなければなりません。
この場合ファイバーポストを除去するのは容易ではありません。
私自身は自分のファイバーポストをとって再治療したことはありませんが、他院で行ったファイバーポストを除去して再治療したことがあります。
このファイバーポストをとる時には歯科用の顕微鏡を使用しないと、とることは出来ないと思いました(ただし、自院で行った患者さんでファイバーポストでも数例歯が破折したことがあるので、良い材料ですが万能な訳ではありません)。
歯科用顕微鏡は現在健康保険適応になっていませんので、趣味の世界(収益性は無視して)です。
それほど多くの歯科医院に普及していませんので、ファイバーポストを外すことになったら歯科用顕微鏡がある歯科医院で治療する方が良いでしょう。
まとめ
最近健康保険に導入された、ファイバーポストは歯の破折が減る良い方法ですが、100%歯の破折を防げる訳ではありません。また、歯に対する接着力が強くなって来ているので、実質歯科用顕微鏡がないと外せないと考えた方が良いでしょう。
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