授乳中には、母乳がお子さんに与える影響が少なくないために色々気を使うことが多いと思います。歯科治療も安定期に行うことが多く、出産間近ではあまり激しい治療を行うことはありません(流産の危険性が0ではないために)。

そのため、出産して授乳中に歯科治療を受けざるを得ないことが多くあります。

授乳中の歯科治療に使用する麻酔を行なっても問題ないのでしょうか?

論文などについても解説して授乳中の歯科治療に用いる麻酔の影響について詳しく解説します。

1.授乳中の母乳と麻酔の関係について

江別市大麻の歯科医が教える歯とお口のこと 注射による麻酔

この項で詳しく説明する麻酔の種類は、注射による麻酔(局所麻酔)と呼ばれる麻酔に対するお話です。

表面麻酔や笑気ガス麻酔、静脈内沈静法などの麻酔の方法は3の所で詳しく説明します。

歯科治療に多く用いられる麻酔はリドカイン(キシロカイン)と呼ばれる麻酔薬です

その他にはプロピトカインと言う麻酔薬なども使用されますが、論文はリドカインに関するものなので、あくまでリドカインの麻酔を使用した影響とお考えください。

歯科の麻酔を行い3時間以内に飲ませれる場合は本当にわずかですが血中濃度に麻酔の影響が現れるので(ほとんど無視できるレベルですが)、心配ならば母乳を搾乳して冷蔵庫に保管するもしくは育児用ミルク(人工乳)を使用するなどの対処が必要になります。

肝臓で麻酔薬が分解される平均時間を安全域にとって72時間と回答される先生もいますが、血中濃度を考慮するとそこまでの時間は必要ないと思われます(心配ならばそこまで安全域を考慮しても良いですが)。

ただし一般的な、医学書などでは歯科麻酔の影響は無視できる程度と解説しています。

しかし母乳にあたえる影響は0では無いので心配性のお母さんであれば麻酔を使用した3時間は授乳しない方が良いでしょう。

2.授乳中に麻酔を使用する場合は前日に搾乳して使用する

江別市大麻の歯科医が教える歯とお口のこと 搾乳した時の注意点について

歯科治療で注射に使用される麻酔をしても、一般的には問題ないレベルです。

しかし、麻酔注射をした3時間程度であれば血中濃度の麻酔薬の上昇は0ではないので、その影響を最小限にしたいと考える方の為に搾乳した時に対する授乳のアドバイスをします(その時だけ人工乳を使用するというのも一つの考え方です)。

歯科治療での麻酔による影響を0にしたい場合には、搾乳した場合は室温で保存するには時間が長すぎます。

搾乳の一般的ガイドラインでは、室温(1926℃)で6時間程度は保存可能としていますが理想的には30分程度が細菌などが増えない時間です。

授乳中に麻酔を使用する場合は搾乳した後に冷蔵庫で保存しておく必要があります

冷蔵庫で保存する場合に一番気をつけなければいけないのは、保存する容器の清潔性です。

次に保存期間ですが、搾乳機のガイドラインでは一週間程度(4℃以下)保存可能としていますが、新鮮なうちに授乳した方が良いので24時間程度と考え、前の日に搾乳して使用するのが良いでしょう。

一般的な冷蔵庫は場所によって、また沢山詰めすぎると温度が高くなる傾向にあるので注意が必要です。

3.歯科で使用される麻酔が授乳に与える影響とは?

歯科で使用される麻酔は注射で使用される麻酔の他にも色々な麻酔があります。

注射として使用する麻酔は浸潤麻酔(麻酔を効かせたい部位に打つ麻酔)と伝達麻酔(太い神経の近くに麻酔を注入してその神経全体に麻酔効果を期待する麻酔)の2つに分けられます。

その他にも使用する麻酔があります。

1)表面麻酔

江別市大麻の歯科医が教える歯とお口のこと 表面麻酔

一般的に注射による麻酔を打つ前使用するものです。

実は歯科で使用する表面麻酔にも色々な種類があるので、一概には言えませんが授乳に対する安全性は確立していないと言うのが一般的な考え方です。

ただし、これは妊婦さんにも言えることなのですが現在妊婦さんで安全に使用できる痛み止めは無いと言われいます。

アセトアミノフェンが第一選択ですし、今でもこの薬が使用されますが胎児に与える影響(専門用語で動脈管収縮)が報告されて重大な副作用が懸念されると使用する時の注意書きにかかれています(ただし、現在でもこのアセトアミノフェンが痛み止めで使用されます)。

これらの事からも、授乳中に安全が確立されている麻酔薬を含めた薬剤はありません・・・・

そうとしか言えないのが現代の風潮です(そんなこといったら何にも使えなくなりますが)。

しかし、痛くなったから歯科治療を受けるというのが現実的なことでしょう。

安全性が確立されていないといっても、誰しも痛いのは嫌でしょう。

その為、少量ですので私は患者さんに説明してほとんどの場合で使用します(安全性が確立されていないなら使用したくないと言われた場合は使用しません)。

ここは私の経験則になりますが、少量であれば影響ないと思います。

2)笑気ガスによるガス麻酔

江別市大麻の歯科医が教える歯とお口のこと 笑気ガス麻酔

これは、N2Oという化学式の大気中に含まれたものを使用したガス麻酔薬です。

笑気ガス麻酔を使用する歯科医と使用しない歯科医がいるので、治療を希望される場合は治療を受ける予定の歯科医院に問い合わせると良いでしょう。

健康保険も適応され、痛みを抑える効果の強いガス麻酔です。

また、この笑気ガス麻酔の良い点は、吸うだけで麻酔効果を発揮するので注射のような痛みが無いことです。

さらに、吸った後にほとんどが自然に外に出るので(非常にわずかな量が腸内で代謝されますが無視できるレベルです)、授乳中にも問題なく使用できます。

私自身は授乳中であれば、この笑気ガス麻酔を使用して治療を行います。

笑気ガス麻酔の欠点は笑気ガス麻酔を吸引している時に「酔ったような感覚」になるため、この「酔ったような感覚」が嫌いな人には使用出来ないという欠点があります。

また、笑気ガス麻酔を絶対に使用しては行けない場合(禁忌症)もありますので注意が必要です。

絶対的な禁忌症についてはこちらに詳しく解説してあります。

興味がある方はこちらをご覧ください。

3)静脈内鎮静法

江別市大麻の歯科医が教える歯とお口のこと 静脈内鎮静法

この麻酔は点滴によって麻酔薬を体の中に入れて治療を行う方法です。

歯科治療に対する恐怖心が大きい人や、広範囲にわたるインプラント治療、深い部位にある親知らずの抜歯などに使用される麻酔方法です。

この時に使用される麻酔薬は施設によって違うために注意が必要です。

その為、授乳を中断する期間を麻酔科医と相談して決めるのが良いでしょう。

一般的にはこの静脈内鎮静法を使用する麻酔薬は24時間以上代謝にかかる麻酔薬が多いので数日間は授乳しない方が良いようです。

まとめ

歯科で使用する麻酔の多くは注射による局所麻酔薬です。

この注射による麻酔を使用した後に授乳することは問題ないことが多いです。

しかし、母乳に対する影響はゼロではないので心配ならば搾乳したり育児用ミルク(人工乳)を使用した方が良いでしょう。