一般に健康保険治療は全国一律で差がありませんが、診療時間外や夜中・休日に歯科治療を受けると時間外加算が算定され、処置の点数(これが患者さんが負担する一部負担金にも反映されるもの)も通常の点数から1.4~1.8倍になるので注意が必要です。
1.救急当番医はかかりつけではないのであくまで応急処置と考えた方が良い
通常、歯科医院に提示してある時間以外に治療する場合は時間外手当の算定がされます。
時間外手当とは、休日や深夜を除く歯科医院の診療時間以外に診療を受けた場合に算定されるものです。
時間外手当は初診・再診料でそれぞれ異なりますが、処置の点数も1.4倍になるため注意が必要です。
これが深夜や休日になってくるとまたさらに金額変わったりしています(時間外手当と同様にそれぞれの加算点数があり、初診・再診料でもそれぞれ異なります)。
深夜とは午後10時~午前6時までを指します(午前6時は早朝ですが、便宜上このような区分になっています)。
また、休日とは日曜・祝日もしくは12月29日~1月3日とされています(ただし、最近は日曜診療をしているところも増えて来ています。診療時間に日曜日と記載されている病院では算定されませんのでご安心を)。
点数が高くなる以外にもかかりつけ歯科医院を持つことを強くお勧めします。
理由を説明します。
私も救急当番を年に1度程度行っていて、自分の例であてはめてます。
実際に私が開業している北海道の江別市と言うところは札幌市の隣街であるために、私が属している歯科医師会が札幌歯科医師会の江別支部という区分になります。
私が行う救急当番は札幌歯科医師会が、ボランティアで行っている夜間救急口腔医療センターというものです。
この時は、自分の歯科医院を早く閉めて救急当番を行うのですが、この時も時間帯によっては時間外を算定しています(当然ですが)。
ここで救急当番病院をお勧めしない理由は、やはり自分の医院ではないので機材が違うということです。
また、私に慣れたスタッフでもありません。
そのため、あくまで痛みを抑えるなどの応急的な処置に徹しざるを得ない状況になってしまいます。
かならず「次の日歯科医院を受診して下さい」という説明をしますし、お手紙を治療を受けた方に持っていってもらいます。
少しでも良いと思われる治療を受けたいのであれば、救急当番においても持ち回りの歯科医院で行っているようなところを探していくのが望ましいです。
しかし、歯が痛くなってそんなことも言っていられない状況でしたらやはり私たちが行っているようなセンターの場所で治療を受けるしかないと言うのが現状でしょう。
2.どうして、通常の診療時間外はこのような点数体系なのか?
先ほど私が歯科医師会の義務として行う夜間救急口腔医療センターにおいても時間外の点数などが算定される旨を説明しました。
このようなセンター以外にも時間外や休日などにおいて、歯科医が治療をうけることがあります。
自宅と診療室が一緒になっている場合や、診療室の電話を自分の携帯に転送する(私がこのパターンですが)ことで苦痛な症状が強い場合は時間外診療を行う可能性があるからです。
この場合は、連絡を受けた患者さんの為だけに診療を行うことになるのでこれらの加算や処置点数の1.4~1.8倍の加算があるのでしょう。
補綴物(歯に入れる被せ物)などの点数は変わらないのですが(緊急の必要性が低いからでしょう)、歯の神経をとる処置や麻酔についても1.4~1.8倍になりますから通常よりもかなり高くなるとお考え下さい。
ただし、痛くなったり腫れたりする時の多くはご自身の体力が落ちている時に多く生じます。
そのような場合には、痛み止めを飲んでも寝られないという方は来られて処置を受けざるを得ないというのが現状だと思います。
普段治療を受けていても体力次第では爆発することがありますから注意が必要です。
3.日常的にかかりつけ歯科医をもつことが重要
救急的な処置を受けると金額も高くなるし、その場で十分な処置が出来ない可能性があることを1において説明しました。
その他にもかかりつけ歯科医を持つことが生命維持においても重要なことなのです。
1万人規模で調査した結果、かかりつけ歯科医を持つ人の方が明らかに寿命が長いという結果が出ています。
この研究では何故かかりつけ歯科医を持つことが長寿につながるかの明確な理由解明までには至っていませんが、かかりつけ歯科医を持つことが生命維持においても重要な事が示されました。
参考文献:American Journal of Medicineand MedicalSciences:2013.3(6)156-165
まとめ
歯科医院の診療時間外に診察をうけると、初診料や再診料に点数が加算される上に処置の点数が1.5倍になります。治療費が高くなる上に自分の診療室以外の施設で治療を行うこともあるのでどうしても診療の質が落ちてしまいます(使い慣れていない器具やスタッフの影響で)。極力かかりつけの歯科医院で診療時間内に治療を受けることがベストの治療をうけるポイントになります。
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