お子さんが、矯正治療を行か行わないかについては生まれつきの骨格と歯並びの他にも成長で行う癖なども大きく影響を与えます。この悪い癖については色々な種類があります。今回はこれらの悪い癖の中でも、表にあらわれないの悪い癖である食べ物や唾などを飲みこむ時にも癖がある場合についての対応策を詳しく説明します。
この飲みこむという行為は自然なものであるために、本人や保護者の方が解らないことが多いのものです。
理由は、親子でも「あんた、飲みこみ方変じゃない?ちょっとみせてごらん」と言って飲みこみ方をチェックするお父さんお母さんはいないでしょう(医療関係者は除きます)。
その為、悪い嚥下癖があっても普通は気づかないというのが大多数なのです。
1.悪い嚥下癖いうのはどのようなものか?
噛み合わせに影響与える、悪い癖についてはいろいろありますが大人になって問題になる場合が多い飲みこむ癖(嚥下:えんげ)についてはさらなる注意が必要です。
これが残ったまま矯正治療行ってもうまくいきませんし、この悪い癖を改善することで成長期であれば噛み合わせを大幅に改善することも可能です。
永久歯ではマルチブラケット装置を用いた矯正治療をおこないます。
マルチブラケット装置に用いる力は数十グラムのことが多いですが、嚥下に関係する舌の力は数百グラムなのでこの悪い嚥下癖が残っているといくら矯正治療を行っても上手く行かない場合が多いのです。
そのため、まずは舌の位置が飲み込む時や普段の時にどこにあるかと言うことに注意をしてみてください。
悪い嚥下癖があると判断した場合は自分で飲み込む練習をするというのも1つの方法ですがやはり歯科矯正に相談し近畿の訓練などの練習を行うと言うか改善するために最も近道になることは間違いありません(ただし、ここでは患者さんサイドで治すことに主眼をおきます)。
悪い嚥下癖とは、乳幼児時代の飲みこみ方が乳臼歯がはえて、更に永久歯になってもこの飲みこみ方が残ってしまったものです。
それでは乳幼児時代の嚥下とはどのようなものなのでしょうか?
1)乳幼児時代の嚥下とはどのようなものか?
生まれたばかりの赤ちゃんは病気(生まれつき歯がある場合)以外は乳歯ははえていません。
その為、母乳もしくは人工乳いずれにおいても歯がない状態で授乳を行います。
当然ですが、授乳を行う場合は「吸う」という行動が出来なければなりません。
そして、次に飲みこむという作用である嚥下を行います。
授乳の「吸う」「嚥下する」という作用の時に注目すべき点は大きく分けて2つあります。
舌の位置と下あごを位置づけするときの筋肉の使い方です。
(1)乳幼児嚥下の舌の位置について
「吸う」ためにはお口の中を陰圧にしなければいけません。
この時使用するのが舌と歯がはえていないあご、筋肉です。
あごの間に舌を入れて「吸う」と言う行為を行います。
歯がはえてくると、歯の間に舌を入れる行為は減ってきます。
成長に従い、乳歯の前歯がはえてきて、最終的に乳歯の臼歯がはえてきます。
更に永久歯の前歯がはえてきて、最終的に12歳臼歯がはえて永久歯列が完成します(親知らずに関してはある人と無い人がいるのとはえてくる時期についてもバラバラなので今回のお話しではは除外します)。
永久歯列が完成していくにつれて、大人の飲み方(嚥下)に徐々に移行していくことが正常です。
しかし、何らかの原因で歯がはえていない乳幼児期の嚥下の仕方が残ってしまうと問題が生じます。
当然ですが、乳幼児期の時の飲みこみ方が残っていない人は無意識のうちに舌が歯に触れないで嚥下を行っています。
大人の正常な嚥下を行う人は上下の歯に隙間が無いので、上下の歯の間に舌を入れて飲みこむことの方が難しくなります。
自分で唾を飲みこんでみて、その時に舌の位置が何処にあるか確かめて下さい。
下の写真に示すスポット(2-1))と呼ばれる部分に舌の先端が来ていれば問題なく大人の嚥下が出来ていると考えて良いでしょう。
(2)乳幼児嚥下の下あごの位置づけについて
乳幼児期の飲みこみ方(嚥下)と大人の嚥下では舌先の位置が重要なのは理解できたと思いますが、もう一つ重要なのが下あごの位置づけを行う筋肉になります。
大人の嚥下では下あごの位置づけに噛むための筋肉(専門用語で咀嚼筋:そしゃくきん といいます)を使用します。
しかし、乳幼児嚥下はお口の周りにある筋肉(専門用語で表情筋と言います)などの顔の表情に関係する筋肉を使用します。
大人の嚥下を行わなければならない時期(永久歯列が完成した時期においてもなお)に乳幼児嚥下が残ってしまうと飲みこむ時に、咀嚼筋のみならず表情筋を使用した飲み方になってしまいます。
こうなると、飲みこむ時に表情筋であるお口の周りの筋肉が働いて成人型の嚥下と異なる飲みこみ方になってしまうのです。
2.大人の飲みこみ方について
1の所で、乳幼児型の飲みこみ方(嚥下)について詳しく説明をしましたので大人の嚥下については簡単に説明する程度にします。
乳幼児型の嚥下と最も異なる点は、嚥下するときの舌の先の位置になります。
大人の嚥下では、スポットと呼ばれる位置に舌の先端があります。
乳幼児型の嚥下の場合は舌が歯のいづれかの部分に接触するために噛み合わせに影響をあたえてしまうのです。
スポットの位置に舌の先があれば、噛み合わせに影響を与えることはないからです。
それではスポットとは何処なのでしょうか?
1)スポットについて
スポットとは上あごの前歯の内側にある部分で写真に示す部分を指します。
専門用語では切歯乳頭と呼ばれる部分で、舌で触ると「プクッとした部分」になります。
この位置に舌の先端をつけて、嚥下することが重要になります。
2)成人型の飲みこみ方は表情筋を使用しない
1のところで詳しく説明しましたが、乳幼児型の飲みこみ方(嚥下)の場合に使用する筋肉は顔の表情筋と呼ばれる筋肉を使用します。
成人型の嚥下では支配する神経が全く異なります(成人型の嚥下神経支配から全く異なります。三叉神経と呼ばれる脳神経の中で三番目の神経です)。
そのため、乳幼児型の嚥下が残ってしまった場合は嚥下する時にお口の周りの筋肉が動きます。
成人型の嚥下は使用する筋肉が乳幼児型の嚥下が全く違うので、それによって嚥下の方法も全く異なるのです。
成人型の嚥下の場合は上下の歯が接触して飲みこむ一連の動作を行い、お口の周りの筋肉を使用しません(動きません)。
3.乳幼児型の飲みこみ方が残ってしまった場合の対応方法
矯正歯科医であれば、この飲み込む時の悪い癖を直す「筋機能訓練(MFT)」と呼ばれる練習プログラムを行います。
この「筋機能訓練」には色々な方法があって、矯正歯科医によって違いがありますが、今回はこの「筋機能訓練」の中でも患者さんサイドでできる最も簡単な是正方法について説明します。
まず1のところで乳幼児型の飲み方(嚥下)が残ってしまう場合が良くないお話をしましまたが、この中でも舌の位置を直すことが最大の目標となります。
そのため、舌の先が正しいスポットの位置にあるかどうかを認識します。
確認方法は簡単で、お水や唾を飲み込んでもらう時に、上下の歯の間に舌が出ていないかどうかを確認することです(唇をめくって下さい)。
大人の嚥下方法が習得出来ている場合は、上下の歯がしっかり噛み合ったままでお水や唾を嚥下することが可能です。
これが出来ていない場合はまず舌の先をスポットに持って行く練習をしましょう。
成人型の嚥下が習得出来ている人には簡単なことなのですが、乳幼児型の嚥下が残っている場合は修正するのがかなり大変なことをまずは理解して下さい(そのために矯正歯科医がお金を別途もらい「筋機能訓練」を行う位ですから)。
普段でもこのスポットに舌の先をおいて、嚥下する時に正しい舌の位置を意識することが重要です。
さらに患者さんサイドでこの舌の訓練を行う方法があります。
これは最も簡単な「筋機能訓練」ですので、成人型の飲み方が出来ていない人はこの方法を練習するのが良いでしょう。
この方法とはまずスポットに舌の先を持って行って、それから舌をスポットにくっつけてそして「ポン」と音を立てて舌を鳴らす方法になります。
この一連の流れをポンピングとよびます。
このポンピングによって舌の筋肉が鍛えられて成人型の嚥下の習得が早くなります。
最低でも1日10回位は練習して、早めに乳幼児型の嚥下から成人型の嚥下に移行できるようにして矯正治療を受ける可能性を減らすようにしましょう。
ただし治らない場合は矯正歯科を受診しましょう。
矯正歯科医はさらにストローなどを使用して色々に「筋機能訓練」をおこないますので、放置して噛み合わない状態になることを避けるようにしましょう。
まとめ
噛み合わせに影響与える悪い癖の中で、最も良い重要な1癖として飲み込む土岐の悪い癖があるね。この癖に気づいて直すことができれば矯正治療を行わなくてもきれいな噛み合わせを入れる可能性が高くなるので1点ある場合は家直すように努力すると良いでしょう。
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