前歯や犬歯には白い詰めものを行います。
これには健康治療が適応になり概ね1日で治療が終了します(磨くのだけは24時間以降に行うことありますが)。
前歯や犬歯では白い審美的な材料使用して直してほしいと考えるのが一般的な考えだとおもいます。
これは奥歯と違い前歯や犬歯にはそんなに力がかからないので、白い材料を使用して治療を行うのです。
ただし、歯の頭の部分である歯冠部が大きく無くなってしまった場合(多くの場合は歯の神経に関する処置を行った場合)は表側は白くて裏側は金属の前装冠という冠を被せる形になります。
今回は前装冠の話は複雑になりますので除外します。
あくまで、白い詰め物のお話しです。
この審美的な白い材料にもいくつか種類があります。
1.コンポジットレジンによる詰め物
我々歯科医師は極力非常に審美的な材料であるコンポジットレジンを使用した治療を行いたいと考えています。
現在このコンポジットレジンは紫外線に近い領域の光を当てて固めます。
その為、形を自由につけることが出来るので非常に便利な材料です。
この材料は、歯科医師の技量にもよりますが上手く詰めれば歯とほとんど区別がつかないほど審美的な材料です。
しかし、このコンポジットレジンを使用できない状態もあります。
それは、虫歯が深い状態の時や、歯と歯肉の境目に出来る虫歯、もしくは虫歯の活性が高い人の場合です。
これらの場合は次に説明するグラスアイオノマーセメントという材料を使用した方が良い場合があります。
2.グラスアイオノマーセメントによるつめもの
グラスアイオノマーセメントはコンポジットレジンに比べて、審美性が低く強度も低いのですが虫歯を無害化したり、虫歯を予防するフッ素を蓄えてそして放出するという非常に優れた特性をもつ材料です。
これは、牛の歯を用いて行われた実験では虫歯を無害化(再石灰化)させるという研究がなされていて、このグラスアイオノマーセメントの非常に優れた特性について虫歯治療の新たなる展開がなされた薬に近い特性を発揮する詰め物です。
実際に発展途上国で虫歯を削らないで詰めて思いのほか良い結果だったという報告もあります。
これは、発展途上国なので削る道具が無いために、虫歯を手でとって(エキスカベーターという器具を使用しました)、このグラスアイオノマーセメントを充填したら虫歯が思いの外進行していなかったという結果が出たのです。
このグラスアイオノマーセメントは先ほどのコンポジットレジンと異なり、液体と粉を混ぜ合わせて硬化時間(概ね4分程度)が経過すると固まるという性質をもっています。
このため、コンポジットレジンほど形態を自由につけることが出来ませんし、強度がコンポジットレジンよりも更に弱いという欠点を持っています。
臼歯でもこのグラスアイオノマーセメントを充填に使用することがありますが、歯が残っているなどの条件を満たさないと破折などの危険性があります。
日本で強度が強いグラスアイオノマーセメントは写真のセメントだけです。
昔はこのグラスアイオノマーセメントとコンポジットレジンの中間の材料である「コンポマー」と呼ばれる白い修復材料もありましたが、最近は発売されていないようです。
関連記事